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映画「劇場」行定勲監督インタビュー/ぷらっとHIROSHIMA

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【話題の人Interview】

映画「劇場」 近日公開
監督行定 勲さん

 

又吉直樹の小説を映画化
恋愛の愚かさ リアルに描く
ラブストーリーを数多く世に送り出してきた行定勲監督の新作「劇場」が公開される。お笑い芸人で芥川賞作家、又吉直樹の同名小説を映画化。行定監督は「若い男女のままならない愛を描いた物語。誰にでも思い当たる青春の残照として共感してもらえれば」と話し、作品へのいとおしさを言葉ににじませる。

 

売れない演劇人の青年永田と、彼を無条件で受け入れようとする沙希の出会いから別れまでを描く。都会のどこにでもある同棲(どうせい)物語にもかかわらず、原作を読んで映画化を熱望したという。「実らない恋愛のどうしようもなさが具体的でリアリティーがあり、魅力的でした」。永田と沙希の恋路に立ちはだかる壁は、不倫など禁断の関係性ではなく、世間に評価されない永田自身の自意識や同世代の劇作家に対する嫉妬心だ。彼は鬱屈(うっくつ)した気持ちの矛先を愛する沙希に向ける。「こうした人としての身勝手さは誰にでもあり、普遍的。何者でもない男女が傷付け合いあがく姿を、この作品を通して若い人たちがどう感じるのか知りたいですね」

 

見どころの一つは、山﨑賢人と松岡茉優の起用と芝居という。山﨑は、これまでの爽やかなイメージを覆すひげ面と長髪で屈折した永田を体現。松岡も、愚かしいほど恋人に優しいが故に壊れていく女性を細部までこだわって作り込んだ。「2人の芝居がぶつかり合ううちに、うまく共鳴していきました。このコンビじゃないと作品として成り立たなかった」と振り返る。
また、人気劇団「モダンスイマーズ」を中心に劇作家・演出家として活躍する蓬莱竜太の脚本も作品に厚みを加えた。経験を生かして劇中劇を書き分け、演劇の街、下北沢に生きる若者たちの姿や言葉に現実味を与えた。

 

ラストシーンが印象深い。原作にはない、映画と演劇を融合した不思議なシーンをあえて用意した。「窮屈な考えにとらわれながら表現と格闘している永田に、僕が芸術家として自由を与えたいと思って作りました。ラストがうまくできたら、僕のこの仕事は完成といえます。永田と沙希の恋愛が無駄ではなかったと、観客に感じてもらえたら」

02.jpg©2020「劇場」製作委員会

 

<映画のあらすじ>

 

演劇青年の愛と苦悩
友人と立ち上げた劇団で劇作と演出を担う永田(山﨑賢人)は、作品が酷評された上に劇団員にも全否定され、逃げられてしまいます。失意の中、永田は服飾の学校に通う沙希(松岡茉優)と出会い、彼女の部屋に転がり込んで同棲生活を始めます。彼の才能を信じて疑わない無垢(むく)な沙希に支えられ、永田はさらに演劇にのめり込みますが、理想と現実の間で苦悩し…。

日本 2時間16分 配給/松竹、アニプレックス 監督/行定勲 出演/山﨑賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉 上映館/広島バルト11、TOHOシネマズ緑井、イオンシネマ広島西風新都、109シネマズ広島、T・ジョイ東広島、福山エーガル8シネマズ

 

ゆきさだ・いさお 1968年熊本県出身。「OPEN HOUSE」(97年)で長編映画デビュー。「GO」(2001年)で注目を集め、「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年)が大ヒット。「ピンクとグレー」(16年)「リバーズ・エッジ」(18年)など多数。演劇の演出家でもある。2020年6月には「窮鼠(きゅうそ)はチーズの夢を見る」公開。

 

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