映画「君がいる、いた、そんな時。」迫田監督、坂本いろはさんインタビュー /ぷらっとHIROSHIMA
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【話題の人Interview】
映画「君がいる、いた、そんな時。」 29日公開
監督 迫田 公介さん 出演者 坂本 いろはさん
オール呉ロケの作品
悩み抱える少年らの成長記
背中をそっと押してくれるような、優しい映画が生まれた。呉市在住の迫田公介監督がオール呉ロケで撮影した新作「君がいる、いた、そんな時。」が29日に呉ポポロシアター(呉市)、6月6日には横川シネマ(広島市西区)で公開される。迫田監督は「生きるのが不器用な人に、それでもいいんだよと伝えられたら」と言葉に力を込める。
物語は、悩みや問題を抱えている小学6年の正哉と涼太、そして彼らの心のよりどころとなる図書室の司書、祥子を軸に展開する。祥子の心に深い傷があることを知った少年2人は、彼女を立ち直らせようと思い切った行動に出る―。「間違った方法であっても、少年たちは大切な人のために懸命になる。彼らの成長ストーリーでもあるんです」と迫田監督。
ラストを締めくくる祥子の「笑顔」には、思い入れがあるという。クランクアップから数カ月後、そのシーンが再撮影に。祥子を演じた小島藤子が複雑な内面を含んだ笑顔を見せ、前回の撮影よりも格段に良くなっていたという。「ラストの祥子の表情を見たいから、撮った作品でした。その笑顔に涙が出てきて、これまでの苦労が報われたと思いました」と振り返った。
東京の映画学校に在学中から、短編が海外の映画祭などで評価されていた迫田監督。この物語を初の長編作品として準備していた10年ほど前、うつ病になった。3年間の療養生活を送った後、2014年に古里の呉市に戻って再スタート。地元企業を中心とした約40社から協賛を集め、西日本豪雨などの影響を受けながらも18年夏、オール呉ロケで撮り切った。
オーディションで選んだ子役たちは演技経験がなかったものの、「僕が一方的に演出を付けず、彼らの内側から出てくる感情を大切にした」という迫田監督の言葉通り、素朴でみずみずしい演技を披露した。女子ながら男子の涼太役を演じた呉市の中学1年・坂本いろはは「現場がとても楽しくて、俳優になりたいと思いました」。
病を経験し、「器用に生きられない僕が撮った不器用な映画」と笑う迫田監督。「何者であるかより何をしようとしているかで、人の価値は決まるのではないでしょうか」
<映画あらすじ>
(C)とび級プログラム
司書の先生に悲しい秘密
小学6年の正哉(マサマヨール忠)は、フィリピン出身の母と日本人の父を持つことを理由にいじめられていた。同じクラスメートで放送委員の涼太(坂本いろは)も、周囲から浮いた存在。校内放送を担当していたが、同級生には大不評だ。図書室の新任司書、祥子(小島藤子)だけは2人を優しく見守ってくれた。しかし、祥子には悲しい秘密があった…。
日本 85分 配給/とび級プログラム 監督/迫田公介 出演/マサマヨール忠、坂本いろは、小島藤子、阪田マサノブ、横山雄二 上映館/呉ポポロシアター(29日~)、横川シネマ(6月6日~) 公式HP/http://kimi-iru.com/※上映が延期になる場合があります。
コラム 【私が出会った映画人】
俳優 津田 寛治さん
今回の紹介人
横川シネマ支配人 溝口 徹さん
1970年、広島市生まれ。98年に閉館した広島ステーションシネマのスタッフを経て、99年から横川シネマの支配人を務める。
(C)2018 映画「名前」製作委員会 2018
トーク上映会 来場回数トップ
役の大小を問わず数々の映画に顔を出して印象を残す映画俳優さん。大杉漣さん、遠藤憲一さん、光石研さん、田中要次さん…。「サブリミナル俳優」なんて呼び名もありましたが、それはつまり、多くの監督に信頼され、ファンに愛される俳優ということ。近年は良くも悪くも映画とテレビの境目が希薄になったからか、ほとんど企画しなくなりましたが、横川シネマを始めた最初の10年間、小規模のインディペンデント映画を中心に活躍する、気になる俳優をゲストに迎えて、トーク&オールナイト上映会を頻繁にやっていました。
当時は、地方でキャストのトークを聞ける機会は希少で、他県から駆けつけてくださるファンも少なくありませんでした。特に、津田寛治さんは、来場回数では最多ゲストということもあって、劇場にとって特別なお一人。所属事務所の俳優全員で駆け付けてくれたことや、ご自身が監督した短編映画(コマ撮りのアニメ!)を上映したこともありました。後日、酔っ払った津田さんが東京から電話をくれて「自腹でも行くから」「まだ頑張っているのがうれしい」と一方的に励ましてくれたことがありました。おかしいやら、泣けるやらで、その声が忘れられません。
津田さん出演のお薦め映画
「119」(1994年)
竹中直人さん監督第2弾で、津田さんにとっては駆け出しのころの最初の大役。オフビートなコメディーですが、今見ると豪華キャストです。
「LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版」(2015年)
一番最近、津田さんが横川シネマに駆け付けてくれたのは、本作を上映した2016年です。原発事故後の福島に生きる男を短い出番で熱演。劇場でも熱い思いを語ってくれました。
「名前」(2018年)
最近の主演映画の中では、特に印象的。偽名を使って生きる男が、ある事情を抱えた女子高生との交流を通して再生していく物語です。
コラム 【家で楽しむアート】
教えてくれた人 広島市現代美術館 広報 岩本 史緒さん
SNSで美術館巡り
新型コロナウイルスの影響により、オンラインで美術館の様子を発信する取り組みが全国で広がっています。広島市現代美術館の岩本史緒さんに、家で楽しめるお薦めのサイトを教えてもらいました。
太田記念美術館のツイッター(@ukiyoeota)
東京都の太田記念美術館は「#おうちで浮世絵」シリーズを毎日更新中です。美しい名所絵から踊るネコやタコまで、ほっと一息つける癒やし画像を楽しめます。変わり種としては福岡市の福岡アジア美術館が公開している「アジアの神さまカルタ」もお薦めです。アジア色あふれる絵札と、舌をかみそうな神様の名前のオンパレードに、はまる方続出の予感です。このほか、会員制交流サイト(SNS)で「#エア美術館」「#おうちミュージアム」で検索すると、いろいろ見つかります。世界各地の美術館の所蔵作品をオンラインで見られる「Google Arts & Culture」も魅力的です。癒やしを得るか、刺激を求めるか。美術で楽しいおうち時間をお過ごしください!
福岡アジア美術館の「アジアの神さまカルタ」はFacebookからダウンロード可能 (@fukuokaasianartmuseum)※「#おうちであじび」で検索してください