読書日和/『山中鹿之助』『ふたりの本多―家康を支えた忠勝と正信―』
シチュエーションごとにぴったりな一冊を書店員たちに薦めてもらうコラムです。売れ筋ランキングや話題の新刊も紹介します。
テーマ 困難なことがあっても「元気出して頑張るか!」と思える本 松本清張『山中鹿之助』
再起する姿に感動 前向きに
(小学館)550円
願わくば我に七難八苦を与えたまえ―。戦国武将・山中鹿之助が主家の尼子氏再興のためならどんな困難にも打ち勝ってみせると、月に向かって誓った言葉です。鹿之助は終生のライバル毛利氏と死闘を重ね、数度の敗北に辛酸をなめたものの、あきらめることなく尼子氏再興を願い立ち上がります。
この作品は、社会派推理小説の巨匠・松本清張の初期の作品で、代表作「点と線」と同時期の発表でしたが、文庫化されたのは2016年です。広島にゆかりのある毛利氏を苦しめた尼子一族を描いた歴史小説に、私たちが接することができるのは、とても幸運なことだと思います。
心が折れなければ再起の道は必ずあります。失敗しても再チャレンジを続ける鹿之助の奮闘には、深い感動があり前向きな気持ちになります。数々の秀逸な名文と戦場スペクタクルを存分に味わえる作品です。
話題の新刊 早見俊『ふたりの本多―家康を支えた忠勝と正信―』
武と知 天下取りの活躍描く
(新潮文庫)825円
今年の大河ドラマ「どうする家康」にも登場する、徳川家康を支えた2人の本多。穂先に止まったトンボが真っ二つになったと言われる名槍「蜻蛉切(とんぼきり)」を操る武闘派本多忠勝。兵法書を精読し、軍略を立てることが生きがいの戦略家本多正信。戦国時代を彩る合戦を舞台に、武と知で家康の天下取りに貢献した「ふたりの本多」の活躍を描く、書き下ろし長編歴史小説です。
先月のベストセラー 啓文社調べ(8/1-8/31)
- 第1位
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大ピンチずかん (鈴木のりたけ/小学館)
- 第2位
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広島風土記 (井伏鱒二/中央公論新社)
- 第3位
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小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本 (小杉拓也/ダイヤモンド社)
- 第4位
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すべての恋が終わるとしても 140字の恋の話 (冬野夜空/スタ-ツ出版)
- 第5位
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ハンチバック (市川沙央/文藝春秋)
啓文社 ポートプラザ店
売り場面積が1600平方メートルを超える中国地方最大クラスの書店です。書籍は質、量ともに地域ナンバーワンです。看護書、介護書、工学書、教育書の特約書店で、Z会特約店。キッズコーナーもあります。
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福山市入船町3-1-25 天満屋ハピータウン ポートプラザ店1階
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084-971-1211