ゲーム障害 焦らず話し合いを/精神科医・尾崎先生のあおぞら診察室
この社会において、どのようにストレスに向き合えばいいのでしょうか。精神科医の尾崎京華さんがお答えします
Q.高校生の息子が一晩中オンラインゲームに没頭し、朝起きられなくなりました。学校も休みがちになり、ゲームを控えるように言うと猛反発を受けます。どう接したらいいでしょうか。(40代、女性)
ゲーム障害 焦らず話し合いを
ゲーム障害(依存)の可能性が考えられます。ゲーム障害は2018年6月、世界保健機関(WHO)が定める新たな精神衛生疾患に追加されました。
ゲーム障害は、ゲームを優先する生活によって学校や会社の欠席、睡眠不足、課金、暴力などの問題が生じている状態をいいます。依存と分かっていても、欲求や行動をコントロールできずエスカレートしていきます。本人の意思の問題ではありません。
ゲーム障害の悪影響として、食事や運動、睡眠が不十分になるため、「低栄養」「骨密度の低下」「精神の乱れ」「人間関係の希薄化」などがあります。また、脳機能の低下などで言動が衝動的になったり、刺激を求めてよりゲームにのめり込んだりしてしまいます。ゲーム障害の20%がうつ病を合併、50%は何らかの精神疾患が合併しているともいわれています。
治療はカウンセリングを中心に行います。まずはゲームへの依存を自覚するために行動記録を付け、考え方や行動の見直しをします。運動も取り入れます。家族はとにかく焦らず、本人の話を聞いて、心配していることを伝えましょう。完全にやめることは難しいので、ゲームとの折り合いを付けられるよう少しずつ生活を調整しながら、健康な生活を送るためには何が必要か、家族で時間をかけてじっくり話し合うことが大切です。(おわり)
教えてくれた人
こころのクリニックひまわり 院長 尾崎京華さん
おざき・きょうか 久留米大医学部卒。精神科医として、認知行動療法や栄養学を取り入れた診療を行う。他の医療機関では物忘れ外来も。5月に広島県海田町でクリニックを開院。
https://cocoro-clinic-himawari.com/