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映画「ひとよ」白石監督インタビュー/ぷらっとHIROSHIMA

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【話題の人 Interview】

映画「ひとよ」
監督 白石 和弥さん

しらいし・かずや 1974年北海道旭川市生まれ。若松孝二監督に師事した後、「ロストパラダイス・イン・トーキョー」(2010年)で長編デビュー。「凶悪」(13年)、「彼女がその名を知らない鳥たち」(17年)、「孤狼の血」(18年)、「凪待ち」(19年)など。

壊れた家族の葛藤と絆描く
「凶悪」「孤狼の血」などアウトローの世界を描いた映画で評価されてきた白石和弥監督。公開中の最新作「ひとよ」は、ある壮絶な過去を抱えた家族の物語だ。キャンペーンで広島市を訪れた白石監督に、新作の見どころを聞いた。
物語では、子どもたちを守るために家庭内暴力が絶えない父を殺し、刑期を終えて15年後に戻ってきた母と3人のきょうだいが、ほどけた心の絆をどう結び直していくかが描かれる。揺るぎない愛ゆえに子どもたちの運命を狂わせた母と、そんな母にやり場のない思いを抱くきょうだい。家族の中で、複雑な感情が交錯する。
主役級の演技巧者をそろえた「家族」のキャスティングが、見ものの一つだ。要となる母を演じた田中裕子については、「スケジュールが空くのを1年待ったほど、彼女の出演は企画段階から必須条件だった。愛のモンスターのような情の強さを表現してくれ、狙い通りでした」と明かす。もう一人のキーマンは、次男を演じた佐藤健。誰よりも慕う母に、こじれた感情を抱いていら立つ難役を、「クールに見えながら、芝居に対して秘めた情熱を持つ健君ならできると考えました」。監督自身も、実弟が7年ほど音信不通だった経験があるという。キャストとは、そんな家族にまつわる体験談を語り合いながら、それぞれの役作りに役立てた。
原作は、東京を拠点とする劇団「KAKUTA」の舞台作品だ。観劇したプロデューサーから、映画化を持ち掛けられた。「加害者と被害者が同居する特殊な家庭の中で、母は子の幸せを願い、子はどう応えるか―という普遍的なテーマが見え隠れし、魅力的な話だ」と感じて、引き受けた。
「血縁の家族は、簡単には関係を清算できないから面倒くさい。でも、行きつくところはコミュニケーションじゃないかなと。誰かと分かり合うためには、傷つけ合ってもぶつからないと始まらない。そんなことを、作品から感じていただければ」

映画「ひとよ」あらすじ
2.jpg©2019「ひとよ」製作委員会

「事件」から15年後の親子
どしゃぶりの雨が降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は夫を殺害します。それが、愛する子どもたちの幸せだと信じて。15年後、大人になった兄の大樹(鈴木亮平)と弟の雄二(佐藤健)、妹の園子(松岡茉優)は、事件の傷が癒えないまま懸命に生きていました。そんな中、こはるが自宅に戻ってきて…。

■日本 2時間3分 配給/日活 監督/白石和弥 出演/佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子 上映館/109シネマズ広島、イオンシネマ広島西風新都、TOHOシネマズ緑井、サロンシネマ、広島バルト11、T・ジョイ東広島、福山エーガル8シネマズ(PG-12)

 

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