【広島東照宮】参拝のススメ
広島東照宮(広島市東区)
朱塗りの唐門と翼廊(よくろう)は広島市の重要文化財に指定されている
●御祭神
・徳川家康公
安産
勝運
病気平癒
城下町の平和願い 家康祭る
広島東照宮は1648年、広島藩主の浅野光晟(みつあきら)によって創建されました。祭られているのは、天下統一を果たし江戸幕府を開いた徳川家康。光晟の母が、家康の三女・振姫(ふりひめ)だったことから、祖父の遺徳をしのぶとともに、城下町の平和を願ったのが始まりです。
子育てや繁栄などに御利益がある神社として知られ、安産を祈願する「戌(いぬ)の日」には出産を控えた女性や家族連れが多く訪れます。また、家康が関ケ原の戦いで勝利したことから、勝運の御利益も。さらに、家康が薬師如来の生まれ変わりとの伝承から、病気が治るという信仰もあつい神社です。
JR広島駅の北側・二葉山の麓に造営された理由は、広島城の「鬼門」とされる北東方位に当たるからといわれています。加えて「似島(広島市南区)が見えるのも、大きな理由の一つです」と権禰宜(ごんねぎ)の久保田峻司さん。広島湾に浮かぶ似島は、対岸の広島市内から眺めると富士山のような形をしていることから「安芸小富士」とも呼ばれています。富士山を崇拝していたことで知られる家康を思い、広島東照宮の社殿は、真正面に似島が見える位置に建てられているそうです。
参道の両脇に並ぶ灯籠は、家康の命日に当たる17日にちなんで、それぞれ17基。唐門まで続く石段は17の3倍で51段あります。境内には徳川家の家紋「三つ葉葵(あおい)」をあしらった灯籠がいくつかありますが、よく見てみると一つだけ紋が上下逆さま! これは日光東照宮(栃木県)でも見られるもので、「建物は完成した瞬間から壊れる」という言い伝えを逆手に取り、あえて逆さまにして未完成の状態にすることで「これからも発展し続ける」という願いと縁起が込められています。
徳川家の家紋が上下逆になった「逆さ葵」
<注目ポイント>
極彩色の彫刻
朱塗りの社殿に施された極彩色の彫刻も見どころの一つ。唐門の上部には鳳凰(ほうおう)とツル、手水舎にはウサギ、本地堂にはウシなど、さまざまな動物を見ることができます。
安産お守り
母子ともに無事な出産ができるように祈願したお守り。きり箱入りの安産お守り(右・2千円)は、箱にへその緒を入れることができます。
<神社info>
広島七福神めぐり
「年明けは、初詣を兼ねて二葉山山麓の七つの社寺を巡る『七福神めぐり』をしませんか」とみこの松田奈々さん。広島東照宮は、人間関係、財産、健康の三徳を備えた福禄寿を祭っています。
御神井
本殿の裏手にある「御神井(ごしんせい)」は、神様が水を飲むといわれている井戸。毎年1月7日の行事「七草がゆ」では、御神井の水を使ったおかゆを食べられます。
<DATA>
広島市東区二葉の里2-1-18
082-261-2954
受付時間/9時~16時15分