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映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」片渕監督インタビュー/ぷらっとHIROSHIMA

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【話題の人 Interview】

映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」
監督 片渕 須直さん

 

かたぶち・すなお 1960年大阪府枚方市生まれ。日大芸術学部映画学科在学中から宮崎駿監督作品に脚本家として参加。TVシリーズ「名犬ラッシー」(96年)で監督デビュー。2016年公開の映画「この世界の片隅に」で第90回キネマ旬報ベストテン日本映画監督賞などを受賞。

 

すずの内面掘り下げる
戦中戦後の呉と広島で生きる庶民を丹念に描き、大ヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」に、250を超える新たなカットが追加された「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が20日、全国公開される。「単なる長尺版とは異なる新作映画」と強調する片渕須直監督に、本作の見どころを聞いた。
新たに加わったのは主に、主人公すずと遊郭で働く女性リンとのエピソード。2人は生活環境や立場を超えて触れ合い、心を通わせる。得意な絵を描いてリンを喜ばせるすずの姿は、心和むシーンだ。「広島から呉に嫁ぎ、自分の居場所に確信が持てないすずさんに『ここにいていいよ』と認めてくれる存在として、リンさんを描きました」と片渕監督。やがてすずはリンと夫の過去に気付き、心の奥底に女性として複雑な思いを宿すようになる。そんな悩みや嫉妬を抱くすずら市井の人の頭上に、空襲の爆弾は降り注ぐ―。
2016年に公開された前作は、戦況が悪化する中でもささやかな楽しみを見つけながら生活するすずの姿に共感が集まった。観客動員数210万人を超え、連続上映の記録は公開から千日以上を経てなお更新している。大ヒットを喜ぶ一方で、片渕監督には、原作にまだ残るエピソードを使ってすずの別の側面を表したい、との思いが残った。「もうひとつの人間ドラマを届けたい」と17年秋には製作を発表。今年7~10月、すずを演じるのんら主要キャストの声が新たに収録された。
「個人としてのすずさんの心の中をのぞき見る作品になったのが、16年版とは違うところ。同じシーンやせりふであっても、違うニュアンスに伝わると思う」と片渕監督。一人の女性であるすずの内面を掘り下げて描いているからこそ、日常をいとも簡単に踏みにじる戦争の理不尽さがさらに際立つ。それが、「新作」と位置付けるゆえんだ。「実験的な試みの作品でもある。見比べてもらい、それぞれの良さを実感してほしい」

 

映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」あらすじ
02.jpg遊郭の女性 リンと交流
1944年、呉市に嫁いだすず(のん)は、夫・周作(細谷佳正)とその家族に囲まれて新たな生活を始めます。戦況が悪化し生活は困難を極めますが、工夫を重ね日々を暮らしていくすず。ある日、遊郭で働くリン(岩井七世)という女性と出会い、次第に心を通わせていきます。しかし、ふとしたことをきっかけに夫とリンのつながりを知り…。

■日本 約2時間50分 配給/東京テアトル 監督・脚本/片渕須直 原作/こうの史代 声の出演/のん 上映館/八丁座、福山駅前シネマモード、呉ポポロ、T・ジョイ東広島、広島バルト11

 

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