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女性への圧力 一蹴/小山田浩子の本棚掘り

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広島市在住の芥川賞作家・小山田浩子さんが、テーマに沿ったお薦めの一冊を月替わりで紹介します。

【今月のテーマ】性差別と戦う一冊
『どうせカラダが目当てでしょ』
王谷 晶著

女性への圧力 一蹴
化粧しないと社会人失格(でも派手すぎは×)、体毛処理はマナー、弊社はストッキングとヒール靴着用必須など、現代日本女性が強要されがちな謎常識、これらは合理的でも論理的でもない(だったら男性にも適用されるはず)。さらに、その歳でその服はイタい、巨乳はエロい、女は愛嬌笑って笑って……などの戯言をメディアや人から浴びせられもする。子供の頃からそういうルッキズム(外見主義)や性差別的言説に触れ、内面化した結果多くの女性が自分の顔や体や年齢を嫌いになってしまう。自分の感性ではなく他人や社会のせいで自尊心が減るのは悔しいしもったいない。
本書はそういうもやもやを叩き割る。短篇集『完璧じゃない、あたしたち』(ポプラ社)で胸のすくさまざまな女性同士の関係を描いた筆者の軽妙強力な文章が「私の肉体は、私だけのものだ。あなたの肉体も、もちろんあなただけのもの」という当たり前のことを再確認させてくれる。私の大切な顔や胸や尻や足や体毛や声を勝手にジャッジし謎常識で包囲してくる外野をうるせえと一蹴し、あなたも怒っていいんだよと背中を押し、つらいなら休もうと寄り添ってくれる。
「エロの象徴、母性の象徴、女性そのものの記号化。そういうのが女のおっぱいにはベタベタと、差し押さえの貼り紙のように貼り付けられてしまっている。(略)せめて自分くらいは、自分の乳房に何も貼らずに対峙(たいじ)してやりたい」
「世の全ての尻は尊い」
「これからの女子に必要なのは『笑顔の練習』じゃなく、『しかめっ面の練習』なのかもしれない。よう知らんアホから『ねえ笑ってよ!』と言われたら、すかさずギャングスタラッパーのような渋い表情で『はあ??????』って返せるように」
本書を全女性、家族や友達や職場や通勤電車やよく行くコンビニに女性がいる人(つまり多分ほぼ全員)に薦める。

『どうせカラダが目当てでしょ』
王谷 晶著

広島市在住の芥川賞作家・小山田浩子さん

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