【暮らしのQ2】父親の生前整理をサポートすることに。税金対策を考えたいけど、難しそう…。
50代の読者さんからお悩みが届きました。
どんなときに「相続税」がかかるのか、また、課税されるときの対策について紹介します。
弁護士法人あおば 相川祐一朗先生
相続税は全ての人に課税されるわけではない。まずは、相続税がかかるかどうかを知ろう。
「生前整理」「終活」と聞くと、気になるのは「相続税」です。相続税とは、亡くなった人からお金や土地などの財産を相続した場合に、受け取った財産に対してかかる税金のことです。しかし、相続税は全ての人に課税されるわけではありません。では、どんな場合に相続税がかかるのでしょう。
相続税が課税されるのは…
相続財産(現金や株式、持ち家、所有する土地、生命保険など)が、
基礎控除額3,000万円+(600万円×法定相続人の数)を超えている場合です。
妻・子ども2人が法定相続人の場合
3,000万円+(600万円×3)=4,800万円が基礎控除額にあたります。
相続税の課税対象額の計算式
相続財産―基礎控除額=相続税の課税対象額
この計算式で、相続財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。相続税の申告も必要ありません。
POINT
ここで最も大事なことは、「今どういう財産があるのか」を知ることです。不動産・動産・株式・保険等、思いもよらない財産が隠れていることもあります。せっかく生前整理の話が出たのですから、お父様としっかりお話になって、整理をなさってください。
相続税がかかると分かったら「生前贈与」で節税対策!
遺族の負担を減らすために忘れてはならないのが「節税」。課税される財産があると分かったら、生前贈与により相続財産を減らす(=節税する)ことができます。
相続税は、亡くなったときの相続財産から基礎控除額を引いたものに対して課税されます。相続財産が少なくなると相続税額も減るので、節税対策になるのです。
相続税・贈与税を節税する5つの方法
①2,500万円まで非課税の「相続時精算課税制度」
2,500万円までの財産が非課税になる制度。60歳以上の両親・祖父母から、18歳以上の子ども・孫への贈与で利用できる。ただし、相続の際に贈与財産も合算して相続税を計算する。
②毎年110万円まで非課税の「暦年贈与」
贈与を受ける人1人あたり、1月1日〜12月31日まで、110万円までの贈与は非課税となる。複数人に対して年間110万円ずつ贈与していけば、非課税で多額の生前贈与ができる。
③1,500万円まで非課税の「教育資金一括贈与」 ※令和5年3月31日まで
30歳未満の子どもや孫へ教育資金を一括贈与すると、1,500万円まで非課税になる。
④1,000万円まで非課税の「住宅取得資金贈与」 ※令和5年12月31日まで
18歳以上の子ども・孫へ住宅購入資金を贈与すると、最大1,000万円まで非課税になる。
⑤2,000万円まで非課税の「贈与税の配偶者控除」
婚姻期間が20年を越える夫婦間において、居住用不動産または居住用不動産を取得するための資金を贈与する場合、2,000万円まで非課税になる。②「暦年贈与」とは別に適用されるため、合計最大2,110万円までを非課税にできる。
相川先生のまとめ
どういう財産があるのかが分かったら、「その財産を相続した場合に相続税がかかるのかどうか」を確認し、かかるのであれば生前贈与等の対策を講じていきましょう。いつ何があるかわからない時代です。対策するのに早すぎることはないので、これを機にまずはしっかりと話し合ってください。それが、相続トラブルを防ぐ一番の近道でもあります。
※節税に利用できる制度には、適用になる条件などがあります。詳しくは専門家に相談しましょう。