シネマNAVI「あのこと」2022年12月30日〜公開
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望まぬ妊娠で闘う女子大生
2021年のベネチア国際映画祭で最高の金獅子賞に輝いた仏映画「あのこと」が12月30日からサロンシネマ(広島市)、23年1月13日から福山駅前シネマモード(福山市)で公開されます。法律で中絶が禁止され、処罰されていた1960年代のフランスで、望まぬ妊娠をした大学生アンヌが、自らが望んだ未来をつかむためにたった一人で闘う12週間が描かれています。原作は、22年のノーベル文学賞に輝いたフランスの作家アニー・エルノーの短編「事件」。エルノー自身の中絶経験を基に書かれた小説を気鋭の女性監督・オードレイ・ディヴァンが映画化し、高く評価されました。アンヌを演じたアナマリア・ヴァルトロメイも、本作で仏映画賞のセザール賞最優秀新人女優賞を受けました。
あらすじ
教師を目指して勉強に励むアンヌの毎日は充実していた。貧しい労働者階級に生まれたが、飛び抜けた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていた。ところが、大切な試験を前に妊娠が発覚し、うろたえる。1960年代のフランスでは人工中絶が法律で禁止されていた。医師や助産師、仲介者、そして手術を受けた本人に至るまで厳しい処罰が科され、中絶という言葉すらはばかられる空気に満ちていた。出産して夢を犠牲にしたくないアンヌは友人にも相談できず、医師にも処置を拒絶されて誰の助けも得られない。自らあらゆる処置を試みる。
上映館
福山駅前シネマモード(2023年1月13日~)、サロンシネマ(22年12月30日~)