【枡田絵理奈の連載コラム】第4回「ことば」と、マスパン。
ちょっぴり怖くて、実はかわいい。我が子から学ぶ広島弁
先日息子と娘が「いっせーのーで‼」と掛け声をかけながら遊んでいたので、「ふふ、間違えてる。かわいいなぁ〜」なんて思っていたのですが、それ以来、街で意識して聞いてみると、子どもたちみんな「いっせーのーで‼」と言っていることが発覚!調べてみると、関西は「いっせーのーで」、関東は「いっせーのーせ」と言う人が多いということが分かり、小さな文化の違いに驚きました。堂林家は、夫が愛知、私は横浜の出身なので、家庭で広島弁が出ることはほとんどなかったはず。それでも子どもたちは幼稚園や小学校に行き始めてから、広島弁に触れる機会が多く、ナチュラルに広島弁を喋ることが増えてきています。
先日も、息子が「今日すいばり刺さったけぇ、保健室で抜いてもらった」と、ネイティブな広島弁で報告してきて、もうすっかり広島の子だなぁ…としみじみ。あ、ちなみに、「すいばり」が広島弁だというのはご存知でしたか?広島の友人たちは「すいばり」が全国に通じる標準語だと思っていた人が多いのですが、皆さんはいかがでしょうか。
あと、公園で茂みに入ると洋服やら髪の毛やらにたくさんついて、なかなか取れなくなってしまうあのオオオナモミ、「ひっつきもっつき」って呼んでいませんか?あれも広島弁のようです。関東はじめ他の地域では、「ひっつき虫」「くっつき虫」と呼ぶことはあるのですが…「ひっつきもっつき」っていう言い方は、なんだかかわいい。「わぁぁぁ!ひっつきもっつきだらけじゃ!」って広島弁で大騒ぎしながら、まるで毛繕いをされる猿のように、友人にオオオナモミを取ってもらう息子の姿に、本当にこの街に馴染みながら育っているのだなぁと微笑ましく感じました。
そんなこんなで、最近は子どもたちの影響で、私もちょこちょこ広島弁が出ることが増えてきています。「それ、やっておいて!」より「やっとって!」の方がちょっと柔らかく聞こえるし、「宿題しなさいよ!」より「宿題しんさいよ!」の方が温かく聞こえる気がします。はじめは広島弁って「仁義なき戦い」のイメージがあって、ちょっと怖いイメージでした。でも、実際にこの街に来て触れた広島弁は、すごく温かくて人情を感じられる言葉だと分かりました。そして、実はかわいい。“コワカワイイ”のが広島弁の魅力かもしれません。
私は標準語に囲まれて育ったので、昔から方言への憧れがあったのですが、まさか大人になって広島弁を身につけるチャンスが来るとは!リスニングはもうバッチリですが、ぜひネイティブレベルの広島弁を身につけられたらいいなぁと思っています!
枡田絵理奈
2008年TBSテレビに入社後、「SUPER SOCCER」「チューボーですよ!」など、さまざまなジャンルの番組で活躍。広島東洋カープの堂林翔太選手と結婚し、2015年退社。現在は広島で3人の子育てをしながら、フリーアナウンサーとして活躍中。
公式Instagram