読書日和/『世界の終りとハードボイルド・ ワンダーランド(上)・(下)』『街とその不確かな壁』 | アシタノ メインコンテンツにスキップする

読書日和/『世界の終りとハードボイルド・ ワンダーランド(上)・(下)』『街とその不確かな壁』

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心に残る思い出の一冊を、書店員たちに挙げてもらうコラムです。併せて、売れ筋ランキングや話題の新刊も紹介します。

思い出の本 村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ ワンダーランド(上)・(下)』

現代小説に衝撃 読書熱再び

(新潮社)上935円、下825円

 

書店で仕事をする人の大半がそうであるように、私も物語が大好きです。子どものころは図書館で本を借りたり、家にある少年少女児童文学全集を片っ端から読破したりして想像の世界にふける、という日常を過ごしていました。小学校高学年ぐらいから、児童文学や夏目漱石らの古典ではなく、現代小説の本を手に取るようになりました。でも、これまでのように本の世界観にはまるという体験ができず、読書停滞期を迎えます。

ちょうどそのころ、ダブル村上(村上春樹と村上龍の通称)の全盛期で、はやりに乗ってまずは村上龍の「コインロッカー・ベイビーズ」を読み、価値観がひっくり返るほどの衝撃を受けました。続いて村上春樹のこの本を読み、村上龍とは真逆の世界観、独特の文体にさらに衝撃を受け、私の読書停滞期に終わりをもたらしてくれました。私に現代小説の面白さを教えてくれた一冊です。

話題の新刊 村上春樹 『街とその不確かな壁』

6年ぶり長編 随所に村上節

(新潮社)2970円

 

村上春樹が6年ぶりに書き下ろした長編小説です。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」との関連性が刊行前に指摘され、話題になりました。それを知ったとき、私にこの本を読まないという選択肢はありませんでした。シンプルでリズミカルな文体に加え、図書館や少年と少女の恋愛といった村上作品ならではのモチーフもしっかり描かれています。

先月のベストセラー 啓文社調べ(4/1-4/30)

第1位
街とその不確かな壁(村上春樹/新潮社)
第2位
茜唄(上)(今村翔吾/角川春樹事務所)
第3位
茜唄(下)(今村翔吾/角川春樹事務所)
第4位
瀬戸の島旅 しまなみ海道+とびしま海道 ゆめしま海道(阿部美岐子 with 愛媛のライター、ディレクターズ/西日本出版社)
第5位
102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方(石井哲代、中国新聞社/文藝春秋)

啓文社 コア春日店

総売り場面積が約1500平方メートルある地域最大の複合書店です。本館は、1階に雑誌、文庫、実用書、話題の新刊など、2階に児童書、学習参考書、文芸書、ビジネス・専門書を取りそろえています。新館では文房具をはじめ、コミックやCD、ジグソーパズルなどを扱っています。

 

住所
福山市春日町5-1-3
電話
084-941-0909
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メディア中国編集部

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