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明日もたのしく、わたしらしく。

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1904年3月8日、ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を求めてデモを起こしたのが起源となり、国連は3月8日を「国際女性デー」に定めました。この日を基点に、各国では3月を「女性史月間」としています。日頃の取り組みに加えて、3月は女性の歴史や貢献、活動について、より一層深く考える機会にしませんか。

広島県 玉井 優子副知事 インタビュー

すべての世代が「自分ごと」と考え 誰もが「わたしらしく」暮らせる社会を

2022年7月に広島県副知事に就任。広島大附属中・高から東京大へ進学、1999年に通商産業省(現経産省)入り。広島市中区出身。広島東洋カープの大ファン。

広島初の女性副知事に就任した玉井優子さんに、女性活躍やこれからめざす社会について伺いました。

 

‒20年以上勤めた経産省から副知事になって1年半。今までの仕事のやり方から、変化はありましたか。

同じ行政ですので、現場主義や県民視点といった考え方のベースは変わりませんが、県だと、より現場が近くなり、やりがいが大きくなったように感じます。

‒ 女性活躍についての思いを聞かせてください。
実は「女性活躍」という言葉は好きではなくて…。例えば、子育ても、会社とは違う社会での「活躍」の一つです。なので、これまで女性が活躍していなかったかのように「女性活躍」と言わなくても…と思います。以前は、女性管理職比率の目標を定めるのもどうなの?と思っていました。でも、実際の意思決定の場で性別に偏りがあると、なかなか良い社会にはならないかなと。社会がスピード感を持って変わるように、意識的に「女性活躍」と言っていかないとと思います。

 

‒ 女性管理職を増やすための、県としての施策は。
来年度は、女性管理職の社外交流ネットワークの構築に取り組みます。社内に女性管理職が少ないと悩みを共有しづらいですが、同世代・同じ境遇の繋がりが生まれることで、女性活躍の後押しになるはず。一人で抱えず、みんなで一緒に頑張れるようなネットワークを作っていきたいです。

 

‒ 管理職になりたがらない層も多いと思います。
「管理職をやってみたい」と思えるような働き方に変えていきたいですよね。人口減少や働き手減少の中で、管理職になると、仕事も増えるし部下の面倒もみないといけない、ではなく、デジタル化やDXによって仕事全体の効率を上げて省力化して、もっとやりたい仕事に注力する、そんな働き方改革が必要なんだと思います。

 

個人的には、管理職はプレッシャーもありますが、判断や時間の使い方をある程度自分でコントロールできるようになってとても働きやすい。「昔はこうだったから」とそのままのやり方ではなく、新しいやり方も取り入れながら楽しんでやれば、管理職も意外と大変じゃないかもしれませんよ!

 

‒ 女性活躍のために変化が求められることは。
ハード面では、休みの取りやすさやフレックスなど柔軟な働き方に関する制度。ソフト面では、職場の雰囲気や理解を高めることも重要です。

 

‒ 子育て世代の働き方についての課題は。
職場の雰囲気作りでしょうか。子どものお迎えや早退などは、父親も普通のこととしてできる空気が必要。県では「共育て」という考え方を進めています。家庭の中での家事・育児時間の男女差を埋めるために、当事者だけでなく、職場や社会全体の意識も変えていきたいです。

 

再就職を支援するための「わーくわくママサポートコーナー」は、育児と仕事の両立への不安払拭に向けた相談、リスキリングのためのプログラム紹介などを行っています。「自宅で働く」という選択肢を持ちやすくなるように、デジタルスキルを身につけるための講座も実施。さまざまな業界でデジタルな働き方を定着させ、子育て世代の働き口を増やすことも目標です。

 

‒ 今後やっていきたい取り組みは。
広島は女性の健康寿命が74.59年で全国43位と低く、健康面の向上も課題の一つです。県の「性と健康の相談センター」では、妊娠・出産・子育てのほか、思春期、更年期、不妊・不育の悩みなど幅広く対応しています。

 

‒ 社会が良い方向に変わってきたと感じることは。
若い世代、特に男性の意識が変わりましたよね。若い世代ほど性別役割分担意識が薄れている印象です。今は性別よりも世代間ギャップの方が大きいのかもしれません。管理職になる世代やその親世代は「女/男はこうあるべき」という考え方のもとで育ってきた人が多いですが、若い世代の力で、新しい価値観を当たり前のものにしてほしいです。

 

昨年、県が募集した「ちぃと もやもやジェンダー川柳コンテスト」の最優秀賞は「ごはんまだ? 帰った時刻 同じだよ」という作品。10代の高校生が家の中を見渡して素直に感じた一句で、私も好きな作品です。

 

‒特に男性が多い環境では、女性は「女性ならでは」の考え方や視点を求められます。玉井副知事にとって「女性ならでは」とは何だと思いますか。
私は「女性ならでは」は「自分ならでは」という意味に解釈しています。体格や体力に違いはあっても、考え方や働き方は男女差よりも個人差の方が大きい。世代や性別にとらわれず、また結婚や育児をしていない人も、みんなが「わたしらしく」生きられる社会を作るために、広島県では引き続き有効活用していただける取り組みを進めていきます。

もっとおしえて! プラスワンインタビュー

Q 広島の「ここが好き!」を教えてください
街、海、山、スポーツ…。とにかくなんでもそろっているところ。昔と変わらない風景にほっとする反面、どんどん明るくなる広島に希望も感じています。本通で流れる音楽が、子どもの頃から変わらなくてほっとします。

 

Q 今年のカープのどこに期待?
やっぱり日本一!昨年は、感情を爆発させる新井監督にとても楽しませてもらいました。今年も引き続き、喜怒哀楽のすべてをファンに届けてもらいたいですね。若い選手の活躍も楽しみです。

数字で見る!広島の「わたしらしさ」

時間や場所にとらわれず働ける職場が増加!

在宅勤務・テレワーク・サテライトオフィスの利用・打ち合わせのオンライン化のいずれか1つ以上を実施している企業の割合は44%と増加傾向。暮らしと両立できる職場環境は整いつつあるようです。
資料:広島県「広島県職場環境実態調査」(令和4年度)

広島は日本一「女性教頭が多い県」!?

学校※の副校長・教頭の女性割合は広島県が1位!学校の管理職への女性登用が進んでおり、小学校では校長の4割を女性が占めています。四年制大学進学率の男女格差も小さくなっており、広島の教育分野でのジェンダーギャップ指数は0.503と、全国で最もジェンダーの平等が進んでいることがわかりました。一方、県議会や市町村議会の女性割合はいずれも低く、政治分野のジェンダーギャップ指数は全国29位。次世代の女性が政治にチャレンジしやすい環境整備が求められます。
※公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校
資料:文部科学省「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」
地域からジェンダー平等研究会「都道府県別ジェンダー・ギャップ指数」(令和4年度)

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」反対意見多数!

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方については、反対と答えた人が過半数。性別で見ると、男性の反対計は47.4%、女性の反対計は57.1%と9.7ポイントの差が見られました。また、世代別で見ると反対と答えた割合が最も高かったのは10代で57.9%。幅広い世代で、反対と答えた人の割合が賛成を上回っています。

資料:広島県「男女双方の意識改革に係る調査」(令和5年度)

それなのに…男女・年齢層別の生活時間の現状は「男は仕事・女は家事」!?

性別役割分担意識は、反対意見が多くなっているものの、25歳以上の各年齢層で、男性の育児を含む家事関連の時間は女性に比べてとても短く、仕事関連時間が長いのが現状。男性も家庭の時間を取りやすい職場環境づくりが求められます。

資料:広島県「令和5年版広島県の男女共同参画に関する年次報告」

サンフレッチェ広島レジーナ主将 近賀 ゆかり選手 インタビュー

日本代表の一員として2011年女子ワールドカップ初優勝に貢献。国内外のクラブを経験し、2021年、WEリーグ発足に合わせて創設されたサンフレッチェ広島レジーナに加入。キャプテン/DF。「女子サッカーを文化に」をスローガンに女子サッカー選手が社会活動を行うためのプラットフォーム「⼀般社団法⼈ なでしこケア」の理事も務める。1984年生まれ。

女子サッカーの環境改善に声をあげ リーグ全体で課題に取り組む

2011年W杯優勝メンバーであり、サンフレッチェ広島レジーナの主将を務める近賀選手に、女子サッカー界を牽引する中で感じることを伺いました

 

‒これまでや現在の、女子サッカーを取り巻く環境について教えてください。
女子サッカーのプロリーグができたのはとても遅く(2021年)、男女を取り巻くサッカー環境には、まだまだ大きな差があります。

 

実は私は、長い間「男子サッカーとは別物」という感覚で、環境に差があることが当たり前だと思っていたんです。しかし、2011年のワールドカップ優勝後に考え方が変わりました。飛行機移動の際、男子代表はビジネスクラスなのに、女子代表はエコノミークラス。当事者の私は「運営の規模も違うし、そういうもの」と捉えていましたが、世間からは「世界王者なのに女子の方が待遇が低いなんて」と批判されました。そのとき初めて、これまでの「差」は声を上げるべきことだったんだと気付かされました。

 

‒社会人では、国内外7チームでの経験を積んだ近賀選手。海外チームの環境はいかがでしたか。
海外では、女子チームも毎日芝生のグラウンドで練習していましたね。オーストラリアでは、グラウンド、食事のサポート、ホテルのグレードなど、より男子に近い環境でした。アーセナル時代は、クラブ自体が女子チームにリスペクトを持ち、ちゃんと育てていこうという姿勢も感じられました。実際に女子チームのレベルも上がっていますよね。

 

‒ 日本のサッカー環境を整えるために、要望は
近年、ボールが使える公園などが減っているので、ボールを使って自由にいつでも遊べる場所を増やしていけたらと思っています。

 

‒近賀選手をロールモデルに掲げる後輩選手も多いです。先輩として気をつけていることは。
チームがうまくいっていないときは厳しいことも言いますが、「これは課題だけど、これはできてるね」と、良い面にも目を向けて言葉にしています。試合に負けてしまった時ほど、マイナス面にばかり目が行きがち。そんな中でも、良い面も明確にしてもっと伸ばそうとする姿を見せるんです。チーム全員がそういう目線を持てば、より成長できると思っています。

 

‒ 若い選手との関わりの中で意識していることは。
あまり「年上として」という意識は構えないように接しています。「こうした方がいいんじゃない?」も、「(自分は)こうした方がいいかなぁ」という相談も、年齢関係なく話しています。むしろ若い選手が私たちに気を使って、練習中にちょっと昔の曲を流してくれたりして(笑)。なるべく気を使わせないようにしたいですね。

 

‒女性アスリートとして、生理やホルモンバランスの変化にはどのように向き合っていますか。
生理痛や体重変化といった不便さがあっても、女性アスリートは若い時から、自分に合った対処方法を考え、工夫しないといけません。そういう中でも高いパフォーマンスが求められる世界です。それでも、練習ができないくらい生理痛がある選手もいます。そういう時はトレーナーが相談に乗ったり、リーグでは産婦人科の先生による生理との付き合い方の講義があったり、男性指導者の理解を深めるための取り組みもあります。リーグ全体が、女子選手の健康を守るために動いてくれていますね。

 

‒ 女子サッカーを普及させるために必要なことは。
広島はスポーツに熱がある土地。男子とは違う女子サッカーの魅力を発信して、広島から女子サッカーを盛り上げていきたいです。女子サッカーは試合中の暴言が少なかったり、スピード感がそこまで早くなかったりと、展開を追いやすい。サッカーを初めて見る方でも、身近に感じやすいのではないでしょうか。特に女性には、同じくらいの体格の選手がグラウンドを走り回って、一生懸命戦っている姿を見てもらいたいです。

 

‒3月3日の開幕戦に向けて、広島のみなさんへメッセージを。
サンフレッチェは男女ともに「チームで戦う」という意識が特別強いチーム。一丸となっている姿に注目してください。新スタジアムで観戦したい方はぜひレジーナの試合へ!チケットも取りやすいはずです(笑)。私たちも、新スタジアムでサッカーができる喜びや待ち遠しさを胸に、練習を重ねています。あのスタジアムならではの臨場感を味わいに来てください。

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アシタノ編集部

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