【あし太がめぐる民芸品#9】佐賀県 有田焼
庶民の生活に寄り添う工芸品を『民芸品』と呼び、その土地ならではの技法が各地で継承されています。
海外でも人気の、きらびやかで美しい器をご紹介します。
豪華絢爛(けんらん)な絵付けは美術品としても人気!
佐賀県有田町は、日本で初めて磁器の大量生産に成功した土地。17世紀初頭、朝鮮出兵で日本の大名とともに渡来した朝鮮人陶工が、有田町泉山で良質な陶石を発見。それを使って白い磁器を焼き上げたのが有田焼の始まりとされています。それから400年、多くの器を産み出し続ける有田町。観光スポットとしても人気で、泉山磁石場(下写真)は現在、国の指定史跡として一部を一般開放しています。
有田焼の特徴で代表的なのが、真っ白な素地に金・赤・黄・藍・緑などで彩色した「色絵(いろえ)」という技法。陶磁器と言えば藍や朱色のシンプルな絵付けが主流だった当時、有田焼のカラフルな色使いは画期的なものでした。素地の透き通るような美しさと鮮やかな彩色はたちまち国内外から評価され、17〜18世紀頃には東南アジアやヨーロッパへ輸出されるように。ヨーロッパでは現在でも、城や博物館で多くの作品が展示されています。
有田焼は華やかな美術品として多くのファンを持つ一方、丈夫さも優れており、多くの家庭で日常的に使われています。普段使っているお皿が持つ歴史や、作られた土地に想いを馳せながら、食卓を囲んでみるのも楽しいですね。