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「広島殺陣フェス2021」をプロデュースした殺陣指導者・田中暁弘さん

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映画や演劇の中で、斬り合いや乱闘を演じる「殺陣(たて)」。殺陣に取り組む団体が演技を披露する「広島殺陣フェス2021」が10月7日、広島市中区のJMSアステールプラザ大ホールで開かれます。殺陣をメインに据えたイベントは初の試み。プロデュースした田中暁弘さんに、広島では珍しい殺陣指導者としての活動や殺陣の魅力について聞きました。

演舞や立ち回り 6団体が出演

 

―「広島殺陣フェス2021」とは、どんなイベントですか。

広島や東京で殺陣に取り組む劇団、芝居やダンスのユニットなどの6団体が、映像での出演も含めて演舞や立ち回りを披露します。派手なアクションを盛り込んだ忍者集団の忍衆羅刹(しのびしゅうらせつ、東京)やロック調にアレンジした時代劇に取り組む芝居空間侍エレクトリカルパレード(東広島市)などが参加。それぞれの団体によって、持ち味は全く違います。

 

私が主宰する劇団おぐら座は、J-POPに乗せて刀を鮮やかに振り回す演舞と、2種類の立ち回りをお見せします。若者に人気の曲と着物や刀といった「和」を融合させたポップな殺陣が売りです。広島では殺陣そのものを知らない人も多いので、殺陣の魅力やジャンルの幅広さを知ってもらいたいですね。

 

―「殺陣指導者」としての普段の活動は。

主宰する劇団での殺陣指導だけでなく、イベントで演舞や忍者ショーを披露したり、声優や俳優を養成する専門学校で教えたりしています。今は新型コロナウイルスの感染拡大で需要が激減していますが、コロナ禍の前までは広島県内の市町から頼まれて、国際交流の場などで殺陣を見せる機会が多くありました。英国の客船クイーン・エリザベスが広島港五日市埠頭(ふとう)に入港した2018年春にも、観光客にパフォーマンスを披露しました。コロナが収束したら、地域の皆さんや海外からのゲストに楽しんでもらえたらと思っています。

東京で修行 高度な技培う

 

―殺陣に魅せられたきっかけは。

子どものころは、ジャッキー・チェンが大好きでアクションをよくまねしていました。岡山県内の高校を卒業した後、ラジオパーソナリティーに憧れて芸能関係の専門学校に進学。20代半ばに、広島の劇団に加わって沖田総司を演じたことがきっかけで殺陣と出合い、はまってしまいました。

 

おぐら座の前身で、時代物のオリジナル脚本を上演する劇団小豆(こまめ)組を07年に立ち上げたものの、「殺陣を基礎から学びたい」と1年ほど劇団の活動を休み、思い切って上京。スタント事務所のワークショップに参加し、日本刀などを使う時代殺陣や素手で闘うボディーアクション、アクロバットなどを学ぶ日々を過ごしました。そこで、礼儀作法や刀の振り方など基本から上級の技まで習得し、コーチングも学べて手応えを得ました。東京では、スタントの仕事を得るために学ぶ人たちの熱量が半端ではありません。そういった環境の中で過ごせたのは貴重な体験でした。広島に帰った後は、培った技術を劇団の芝居の中で存分に生かすことができました。

和の文化楽しく伝えたい

 

―殺陣の魅力はどんなところにありますか。

立ち回りは、あくまで演技の技法の一つです。ドラマの中で刀を抜かなければいけない事情があって命のやりとりに至るわけですから、観客にもその緊迫感が十分伝わらなくてはいけません。うまく表現できた時は、舞台でお客さんの空気が変化するのを実感できます。立ち回りに見入ったお客さんが、息をしていないのではと思うほど静まり返っている時の空気感や一体感を味わってしまうとやめられません。また、イベントでの演舞なども劇団☆新感線や劇団キャラメルボックスなどの舞台、また大衆演劇出身の俳優・早乙女太一さんの立ち回りの動画などを参考にしながら、研究を重ねています。一般の人たちの目を引き、興味を持ってもらえるパフォーマンスを作り上げたいと考えています。

 

映画やテレビドラマの世界では時代劇が減り、担い手も少なくなっていると聞いています。殺陣を通して、これまで受け継がれてきた和の文化を、広く楽しく伝えていきたいですね。

 

 

プロフィル

 

たなか・あきひろ 1978年倉敷市生まれ。岡山県立鴨方高を卒業後、芸能の専門学校を経て横浜市を拠点とする劇団で演劇の経験を積み、2000年から広島の劇団太陽に所属。同劇団の解散後、2007年に自身が主宰する劇団小豆組を設立。20年末に解散させ、21年に劇団おぐら座をスタートさせる。演劇や殺陣を取り入れたイベントプロデュースなどをするKomame Worksの代表でもある。

「広島殺陣フェス2021」公演情報

<広島殺陣フェス2021>

日時:10月7日18時30分~(上演時間:約150分)

場所:JMSアステールプラザ大ホール(広島市中区)

チケット:前売りは一般2500円、高校生以下1500円、当日は一般3000円、高校生以下2000円

チケット予約:http://komameworks.com/pg898837.htmlから。

問い合わせ:電話082-521-8545またはinfo@komameworks.com (Komame Works)

この記事を書いた人

仁科久美(メディア中国編集部 ライター・編集者)

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