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【あし太がめぐる民芸品#10】石川県 九谷(くたに)焼

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庶民の生活に寄り添う工芸品を『民芸品』と呼び、その土地ならではの技法が各地で継承されています。
今回は「JAPAN KUTANI」とも称される華やかな器をご紹介。

上絵付けの技術で美術的価値を高めた伝統工芸品

約360年の歴史を誇り、きらびやかかつ力強い絵付けが特徴的な九谷焼。宮内庁御用達の贈答品でもあり、海外では「JAPAN KUTANI」という呼称で広く愛されてます。そんな九谷焼が今日まで発展するには、窯の廃業・復活、存続のために奮闘した職人たちの努力といった、山あり谷ありな背景がありました。

 

九谷焼の誕生は江戸時代初期。加賀の九谷村で陶石が発見され、九州・有田で焼き物の技術を学んだ職人が窯を築きました。赤・緑・黄・紫・紺青の「五彩」を配色する絵付けによって前衛的な磁器生産が進みましたが、わずか数十年で窯は廃業。その頃のたしかな記録は残っておらず、廃業の原因は謎のまま…。こういったミステリアスな歴史も、九谷焼ファンの心をつかむ魅力の一つになっています。そして廃業から約100年後、藩や各地の職人の指導によって窯は復活。窯元の職人たちは、さらに九谷焼の価値を高めるためにと絵付け技術を磨き、1873年のウィーン万博への出展を機に九谷焼の名は一気に国内外へと広まりました。

 

九谷焼は、本焼きした陶磁器の上から絵を描き、再度焼き上げる「上絵付け」という技法で作られます。先に釉薬をかけて本焼きすることで絵の具がにじみにくく、繊細な絵付けができることから、九谷焼や有田焼のような芸術性の高い器にこの技法が用いられています。上絵付けによって華やかながらも落ち着いた色合いに仕上がり、私たちの暮らしに自然と溶け込んでいます。

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アシタノ編集部

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