【ものづくり現場リポート】vol.2 株式会社サンポールの車止めができるまで
駐車場や歩道沿い、公園の入り口など、街のあらゆる場所にある「車止め」。近年は車の衝突事故を防ぐための製品も生まれ、私たちの暮らしをひっそりと守ってくれています。そんな車止めが作られている、広島市中区の「サンポール」にお邪魔しました。
1. お客様の意見や社内での提案で 多くの用途に合わせた製品を企画
お客様の要望を聞き出し、用途に応じた車止めやその配置を提案します。例えば、右上の写真は「エリアアーチ」という据置型の車止め。地面に穴を開ける基礎工事ができない場所には、こういったレイアウト自在な車止めを提案。ベース部分にプランターが入る設計になっていて、街を華やかに彩りたいというお客様の要望にも応えます。重量約100kgと十分な安定感があり、専用台車で動かすこともできるそう。
2. 大量生産が必要な製品を ていねいに仕上げ。発注から即日出荷も!
アルミ、ステンレス、スチールのパイプや鋳物などを組み合わせて製造。景観を崩さず、かつ、目印としての機能を保つために、カーブの細かい角度や仕上げの美しさを突き詰めています。右下の写真は、サンポールで初めてグッドデザイン賞を受賞した車止め。機能だけではなく、見た目の美しさも追求し、頭部のカーブにこだわった製品です。
3. 悲しい衝突事故を減らすために 耐衝撃製車止めで人と建物を守る
車止めは元々、視覚的に車の進入を抑止する目的で使われるもの。しかし近年、アクセルとブレーキの踏み間違いなどによる傷ましい事故が社会問題化し、物理的に車を止められる頑丈な製品のニーズが高まりました。そこでサンポールでは、支柱の中に独自の補強材を入れ、時速45kmの衝突衝撃を受け止められる「インパクトボラード」を開発し、2020年に製品化。車の衝突試験を何度も行い、効果を確認しています。
4. 全国各地で愛される「ピコリーノ」が 笑顔あふれる街づくりに貢献
サンポールの人気製品である小鳥付車止め「ピコリーノ」。神奈川県・江ノ電江ノ島駅で1999年の冬から始まった小鳥の“着せ替え”で注目を集め、長年愛されています。ポーズ違いの小鳥の型を2種類作り、1羽を他の小鳥たちから少し離して配置することで、4羽の関係性やストーリーといった想像を誘っているそう。2022年11月には、広島市南区・うじな保育園で76羽の小鳥に「風邪をひかないでね」と服を着せるイベントを開催。子どもたちの豊かな感性を育みながら、成長を見守っています。
Interviewer memo
景色の一部として意識したことがなかった車止め。気にならなかったということは、それだけ車止めが景観を邪魔せず、外部空間に溶け込んでいたのかもしれません。サンポールの「外部空間を豊かにクリエイトする」という企業方針を強く感じたインタビューでした。そして1月にはミニ車止めのカプセルトイが登場したそう!デスクの上で、小さな街を作ってみようかな…。