【あし太がめぐる民芸品#1】大分県 小鹿田焼
庶民の生活に寄り添う工芸品を『民芸品』と呼び、その土地ならではの技法が全国各地で継承されています。
第1回は、細かな模様が美しい民芸陶器をご紹介します。
穏やかな里で受け継がれる手仕事の幾何学模様
細かい模様と素朴な風合いが特徴の小鹿田焼。モダンでシンプルなデザインの皿はどんな料理とも相性が良く、その使いやすさが魅力の一つです。
大分県日田市の最北部・高塚山の麓で、300年以上続く小鹿田焼の窯元。長い歴史と伝統を守りながら、親から子へと技術が受け継がれています。重要文化的景観に指定された「小鹿田焼の里」には9軒の窯元が並び、職人の手仕事を見学できます。
小鹿田焼の土をつくのは、唐臼と呼ばれる川の流れを利用した鹿威しの仕組み。静かな里山に響く「ギー、ゴットン」という唐臼の音は、日本の音風景100選にも選ばれたそう。ロクロは足で回し、窯では薪を焼べ、機械を一切使わずに焼き上げられていきます。
幾何学的な模様はすべて、金属のカンナや刷毛を使った手作業によるもの。道具をロクロの回転と反対向きに当てることで一瞬にしてリズミカルな削り目が付き、土の風合いや手仕事のぬくもりを感じられる美しい仕上がりに。手作業ということは、一つ一つの模様の付き方にも微妙な違いが。気に入る器を手にとってじっくり吟味するのも、民芸品選びの醍醐味です。
自然の力と人の手だけで作られる小鹿田焼。手間と時間がかかっていますが、民芸というだけあって値段はお手頃!細かい模様を目印に、セレクトショップや食器店で探してみては。