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【あし太がめぐる民芸品#4】愛媛県 砥部(とべ)焼

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庶民の生活に寄り添う工芸品を『民芸品』と呼び、 その土地ならではの技法が全国各地で継承されています。 今回は、お隣・愛媛で作られる涼やかな磁器をご紹介。

磁器ならではの透明感で、食卓が爽やかに

山に囲まれた傾斜地の町、伊予郡砥部町。ここは、地元の陶石(とうせき)を原料にした、透明感のある白地が印象的な「砥部焼」の特産地。ぽってりとしたフォルムの砥部焼は、“夫婦喧嘩で投げつけても割れない”という逸話から「喧嘩器」とも呼ばれているんだとか。

 

砥部は、6〜7世紀頃から陶器の製造が盛んな地域。傾斜を活用した窯や、燃料の赤松、原料の砥石(といし)が多く産出されるなど、焼き物づくりに適した町でした。ところが江戸時代中期、財政難に陥った大洲藩は、砥石を切り出す時に出る屑を使った磁器「砥部焼」の開発を始めました。良質な原料の発見、レンガ造りの窯の建築などを経て、砥部焼の製造がこの地域の経済を支えていくことになったといいます。

 

ここで気になるのが、陶器と磁器の違い。陶器は、粘土を主な原料に使った、気孔を多く含む焼き物。熱が伝わりにくく、茶の湯や懐石の席で多く見られます。一方の磁器は、石の粉やガラス質を多く含んだ原料で、素地の純白色と、密度の高さが特徴。中でも砥部焼は、丈夫さやデザイン性の高い絵付けから、暮らしに密着した使いやすい器として全国的な人気を誇っています。

 

今では100軒前後の窯元が砥部焼を製造。伝統を守りながらも、繊細な染付、素地を生かした白磁、灰を使った柔らかい発色の青磁と、窯元ごとの個性を発揮しています。旅先で出会った際は、器との一期一会を楽しんでみては。

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アシタノ編集部

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