明日こそニコニコ過ごしたい!「うまく怒る」を身につける。 | アシタノ メインコンテンツにスキップする

明日こそニコニコ過ごしたい!「うまく怒る」を身につける。

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日々の暮らしの中で、ついつい子どもを叱り飛ばしたり、 夫にきびしい言葉を浴びせたりして、後悔したことはありませんか? できることなら、自分も、家族も、気持ちよく毎日を過ごしたい…。 アンガーマネジメントを知って、怒りに振りまわされない日々を手に入れましょう。

アンガーマネジメントについて、 アナタはどのくらい知っていますか?

そもそも「うまく怒る」って、どういうこと?

怒りをマネジメント(管理)するといっても、感情を抑え、怒らないことがアンガーマネジメントではありません。怒りを我慢しても、結局はストレスとなるだけ! 大切なのは怒りの感情のもとになるものと向き合い、それを正しく理解し、相手に上手に伝えることです。自分の中で感情の受け止め方が変われば、怒りも自然とやわらぎ、家庭や職場でのコミュニケーションもスムーズになります。言い換えると、アンガーマネジメントは人間関係を円滑にするためのコミュニケーションスキルでもあります。今回はそんな怒りの感情との上手な向き合い方について、感情心理学を専門とする安田女子大学の藤原先生にアドバイスをお聞きしました。

 

安田女子大学心理学部 現代心理学科 准教授

藤原 裕弥先生

不安、抑うつ、怒り、ストレスなどのネガティブな感情だけでなく、笑いやユーモア、幸福感といったポジティブな感情までを研究対象とする藤原先生。総合的な視点から感情の機能や役割を解明し、生きる力に役立てる研究に取り組んでいます。

こんな時、アナタはどうしてる? まずは怒りの感情のもとを知ろう!

毎日の暮らしの中で爆発する、あのイライラ…。その背景には、実は意外な心理が隠されているかもしれません。ここではよくある事例をもとに、アナタが抱える怒りの感情のもとについて一緒に考えてみましょう。

バタバタ忙しい朝。何度も声かけしているのに、のんびりしている我が子。 今日もカミナリを落として、ギスギスした気分のまま、幼稚園へ送り出すのかな。

【怒りスイッチはココ!】

毎朝言っていることなのに、子どもはなかなか実行してくれない。アナタにしてみれば、期待が裏切られたような気分。でも、ちょっと待って!子どもは小さな大人ではありません。それを忘れているから、怒りスイッチがついONになるのかも。

 

【その時、子どもの気持ちは?】

「早く準備をして!」と言われても、子どもは具体的に何をどうしたらよいのか、わかっていないだけなのでは?たとえば、「時計の針が6に来るまでに、歯磨きをして、制服に着替えようね」と伝えてみてはどうでしょう。伝え方を変えるだけで、子どもは行動を起こしやすくなり、アナタも怒りを未然に回避することができます。

晩ご飯の支度中。子どもの面倒は夫が見ているはずだったのに、 ゲームに夢中で、子どもが壁に落書きしているのにも気づかないなんて…。

【怒りスイッチはココ!】

「家をいつもキレイに保ちたい」という思いが侵害されたのと、「これくらいのこともできないの」という夫に対する失望感。この2つがあわさって、とうとうアナタの怒りスイッチが発動!夫に対して、あれやこれやとキツイ言葉を浴びせることに。

 

【その時、夫の気持ちは?】

「子どもを見ていてねと言われたから、ちゃんとそばにいたのに」と、まるで意に介さない夫。しかも、「落書きなんて消せば済むこと」と思っているから、なぜ妻が怒っているのかわからない。夫婦といっても所詮は他人です。考え方や認識に違いがあるのは当たり前。やってほしいことやお互いの役割については、日頃から明確な言葉にして伝えるようにしましょう。

自分と向き合うトレーニングが、 アナタの怒りをやわらげてくれます。

怒りのもとがわかっても、咄嗟に湧き上がる感情はなかなかコントロールできないもの。そこでオススメしたいのが、自分と向き合い、自分を知るトレーニングです。考え方のクセを知ったり、「今、この瞬間」を意識する訓練が、アナタの怒りの制御に役立ちます。

1. 記録をつけて、 自分の怒りを「見える化」しよう

怒りは何らかの要求が満たされない時の二次的感情です。そんな怒りの感情に対処するには、まず、怒りの本当の気持ちに気づくことが大切。その気づきを得るのに有効な手段が、どんな場面で、どんな風に怒ったかを書き留める「アンガーログ(怒り日記)」です。文字にして書き出すことによって、次第に自分の思考パターンがわかるようになり、考え方のクセが見えてきます。たとえば、〜すべきと考えがちな「MUST思考」や白黒つけたがる「完全主義的思考」の人は、怒りのスイッチが比較的入りやすいタイプ。でも、事前に自分の怒りのパターンがわかっていれば心にゆとりが生まれる分、怒りの感情も感じにくくなります。ぜひ、試してみてください。

アンガーログをつけてみよう!

以下の項目を参考にして、アナタの怒りを見える化しましょう。たくさんコピーして、手帳に挟んでおくと便利!気軽に利用できるアプリなどもオススメ。習慣にしやすい方法を選んでみて。

ヨガや座禅を取り入れて、 「マインドフルネス」を実践

マインドフルネスとは、ひと言で言うと「心を今に向けた状態」のことをいいます。人は過去を振り返りすぎたり、未来のことばかり考えていると、気持ちがうつ気味になったり、不安になったりするものです。ヨガや座禅などを通じて、今、あるがままの自分を受け入れる訓練をしてみましょう。五感を今に集中させることで、スーッと心が落ち着き、整っていく感覚は、怒りで収集がつかなくなった感情にも効果的!今、この瞬間をポジティブに、気持ちよく過ごすためにも、日頃から心を整え、落ち着かせるマインドフルネスの実践がオススメです。

「こうしてくれたら私は嬉しいな!」 アサーティブコミュニケーションを練習

最近、企業などでよく実践されているアサーティブコミュニケーションも怒りのコントロールに効果的です。アサーティブネスとは自己表現もしくは自己主張という意味ですが、自分の意見ばかりを押し通すという意味ではありません。「○○してくれてありがとう。こうしてくれるともっと助かるな」など、相手の気持ちを大切にしつつ、自分の意見をしっかり伝えるというのが大前提。自己表現の方法にも長年身についたクセがあります。自分のクセを知っていれば、伝わらないイライラやネガティブな感情にとらわれることなく、スムーズなコミュニケーションを楽しめますよ。

それでも咄嗟にイライラした時は、どうしたらいいの?

いくらトレーニングを積んでも、咄嗟の場面ではなかなかうまくいかないものです。そんな時は、よく聞く「6秒間ルール」を試してみてはどうでしょう。これは心の中で6秒数えて、怒りをおさめようというものです。しかし、人によっては我慢することが逆効果になることもあります。その場合はためらわずいったんその場を離れましょう。また、ゆっくり低い声で自分の言い分を伝えるというのも効果的。話しているうちに自分の心も落ち着きます。

 

とはいえ、一度生じた怒りをコントロールするのは思った以上に大変です。日常的にトレーニングを積んで、怒りにくい自分をつくるよう心がけましょう。

怒りのタイプもいろいろ。こんな人は要注意!

「それほど怒りっぽくないわよ」という人も、チェックしてみると意外な自分が見えてくるかも。 アンガーマネジメントの第一歩は自分を知ること。自分は怒りっぽいのかなと感じたら、これからは伝え方に配慮してみましょう。

あなたの怒り方、大丈夫?いくつ当てはまるかチェックしてみよう。

□ 人の話を途中で遮ることが多い

□ 仕事や勉強などで人に負けたくない

□ 緊張しやすい方である

□ 人の話をせかしたくなることが多い

□ 几帳面である

□ 劣等感が強い方である

□ 声が大きい・早口と指摘されたことがある

 

たくさん当てはまる人は、怒り方が攻撃的になりがちかも。 前述したトレーニングで、上手な気持ちの伝え方をゆっくり練習してみましょう。

 

出典・参考:日本保健医療行動科学会年報第9巻『山崎久美子・大芦治・塚田豊弘:タイプA行動パターン評価尺度の作成の試みとその検討』

怒り方が体の不調に 影響するってホント!?

怒りのタイプには攻撃的な人、怒りを溜めやすい人、そして、その中間の3つがあります。望ましいのは中間タイプ。ちなみに攻撃的な人は高血圧になりやすかったり、溜め込めがちな人はガンになりやすいといったデータもあります。ストレスを抱えすぎると体にも負担がかかるので要注意!

笑顔を心がけること、それだけでも怒りの感情がやわらぎます!

ここまでアンガーマネジメントについて紹介してきましたが、ここで紹介した方法を試してみて、たとえうまくいかなかったとしても落ち込む必要はありません。世の中にはストレスを感じやすい人、怒りっぽい人、言葉よりも行動に表れてしまう人、あるいは逆にまったく怒れない人など、いろいろなタイプの人がいます。すべての人にこのやり方がマッチするとは限りません。ただ、アンガーマネジメントの手法を通じて、自分と向き合い、怒りの向こう側にある本当の気持ちや自分の怒りのタイプを知るだけでも、怒りに対する対処の仕方がずいぶん変わってきます。

また、難しく考えすぎず、ふだんから笑顔を心がけるだけでも十分!もちろん、ムリして笑顔でいることはストレスのもとですが、笑顔を心がけていれば不思議とポジティブな気持ちが湧き上がり、怒りを感じにくくなるものです。笑顔でアナタの気持ちを伝えるトレーニングを心がけてみてください!

この記事を書いた人

アシタノ編集部

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